それでも旅へ行く。

釣りや昆虫採集の自分用日記です。自分用ですが、私と仲良くして頂いている方は是非覗いて行ってくれると嬉しいです。

幻との決着、そしてスタートラインへ(アオ編4)

2021年4月24~25日、三人でのシーズンは幕を閉じた。

今シーズンは前回に書いた通り、言うことなし!最高なシーズンになった。

 

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三年目でようやく初めてのアオウオに出会う事が出来た。更には二週連続ヒットまで経験できた。


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もうずっと写真見返してニヤニヤしてしまう。

 

友人も自分の事のように喜んでくれた。人の釣果を自分のように喜んで貰えるの、本当に嬉しい。

 

そんなこんなで、三人でのシーズンは大満足で幕を閉じた。

が、自分は翌週5月1日~5月2日、一人で延長戦をする事になった。

 

この週は仕事が忙しく夜勤で殆ど寝れない時間もあり、少しでも休みたいワシは贅沢に特急券を使い仕事から帰宅


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仕事終わりの特急帰りって贅沢やな。

 

帰宅し、仮眠を取りいつも通り出発。

朝方に現場に到着し、いつも通り餌を放る。

 

久しぶりに一人釣行なので、いつにもまして静かな川辺で、朝ご飯を食べた。

最近食べてるのは十勝バタースティックパンチョコチップ入り。マジうめえのでオススメ。100本は食えそう。

 

仕掛けを放り、15分程で竿に触りが出始めた。その後すぐに糸が走った!!

でも軽い、、、正体は鯉くん。俺はお久しぶりでした。こいつはランディング前にバラシ

 

川はいつもより静か。いつも抜けていた、あの巨大アオが居ない・・・。

とはいえ、鯉が釣れてすぐ放った仕掛けにまた触りが出ている。

魚の数は季節が進行する度に、かなり増えているように感じた。去年に比べてアタリも多い。

 

竿は時折、ふわふわ揺れたがあまり食いそうな気配がない為、川辺で就寝した。

 

10時半頃、突如身体が揺れる感覚がして目が覚めた。どうやら、地震のようだ。

調べてみると、こちら付近は震度3~4程度。にしても地震よりも風が凄い・・。水面の波立ちが半端なかった。

 

丁度良い時間なので、撒き餌を追加。

 

川を眺めていると、いつも見ているサイズのデカイアオが抜けた!!本命はいる!

期待は増したが、竿は揺れず、静かなままだ。

 

あまりにも静かなので、寝落ちしてしまい熟睡していた昼頃

 

突如センサーON!!

 

急いで竿に駆け寄ると、そいつは真左の根がキツいポイントへ向かって走っていた!さらにはラインが2~3箇所、根に絡んでしまっている。

 

インテンションは控えめ、まずは根に絡んだ糸を立ち位置を替え外しにかかる。

なんとか上手く外れた!さっそくリフトしようと竿を立てるが・・・。

重い💦、今までで一番の重量級だろう。

沖には行かず、ひたすら手前の根や、障害物に向かって大暴れ。首振りの破壊力が先日の二匹とは桁違い。

 

急いで根から引き剥がしたい・・・とはいえさっき障害物に絡んだ糸が心配で、力を上手く掛けられない。そしてなにより、とんでもないパワー。いくらリフトしても浮いても来ない。。。

 

今回は一人なので、あらかじめ決めたランディングポイントに魚を誘導する必要があるのだが、魚が大暴れしてかなりランディングポイントから離れてしまった。

とりあえず、一度空気を吸わせてから考えよう。

尚も障害物に突っ込んだり、次は右側に向かっていったりと、かなり翻弄される。

リフトしてもその分、潜られる。

 

決して沖には出ずに、ひたすら手前の障害物に突っ込み続ける、あちらの魚はこの週辺の地形は全て理解できているようだ。

 

エイもサメも他の魚もそうだが、老成魚やそこ週辺の親玉サイズの魚になると、釣り人が嫌がる動きを本能的によくわかっている。

 

間違いなく、記録更新は確定の魚だろう。数分引き合い、ようやく魚の背鰭が、水面に現れる。

 

「でかい!!」

 

しかし、決して顔を上げない。空気は吸わない。またも障害物に向かって潜航。更に潜れないと分かると急に真右に走り出し、違う根へと向かう。隣にもう一本出てる竿を、くぐらせてかわす。

 

障害物の下にかなり点々とエグイ根があるようで、同じ場所に何度も何度も突っ込んでいく。

 

十数分引き合い、向こうの抵抗力がようやく弱まり、バフっという音がする。無事に空気を吸ったのだ。

この魚はなかなか観念せず。空気を吸ってもすぐに反転し、障害物に突っ込む。らちが明かないので隙をみて私が入水し、直接ランディングすることに。

全く顔を向けず、こちらを見るとすぐに水中に消える。本当に強い魚だ・・・。今まで25年間生きてきて、間違いなく最強の淡水魚だ。

 

数回寄せては行かれを繰り返す。もう俺もアオも満身創痍、二人きりの川辺でお互いの意地をぶつけ合った。

そしてついにこちらに口が向いた!フックポイントを確認し、気をつけてアオの口に手をかけ、全力で引っ張る。

 

巨人は遂に、座礁し動かなくなった。急いでブルーシートを取りに行き、アオの下に敷く。

 

ついに決着!人生最大にして、最強の淡水魚は無事にブルーシートにくるまった。

 

後は岸上げだが・・・

 

重い・・・とても一人では無理。今俺が一瞬でボブ・サップにでもなれなければ持ち上げる事は不可能だ。

 

一度ブルーシート上で暴れ、ブルーシートをはみ出そうとした為、俺が飛び込んで庇いアオの下敷きになった。痛い・・重い・・さらに飛び込んだ場所は死にレンギョの山・・・体臭がレンギョに・・・まあ、魚体に傷は付かなかったので一安心だ。

 

落ち着いたので、軽くメジャーを当てたが150センチを超えている。恐らく155くらいはあるだろう。

魚体にもこれ以上傷をつけたくない為、水中へ戻し、北浦で釣りをしている友人に連絡し、来てもらう事になった。本当にありがたい。


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顔がデカイ・・・このサイズ一人はキツかった💦やはり150オーバーはデカイなあ。

 

一人川辺で余韻に浸る。まさか今回も釣れるとは。しかも150オーバーにまで出会えたなんて・・・最高のシーズンだ。体臭死にレンギョだけど。

 

この時は身体はボロボロだが、かなり余裕な気持ちだった。

まさかこの後、この通称150オーバーの魚がとんでもない事件を起こすなんて、夢にも思わなかったのである。

 

しばらくして、北浦で釣りをしていた友人が釣りを中断して現場に駆けつけてくれた。

友人に

「軽くメジャー当てたら、150は超えてたんで、おそらく150オーバーなのは間違いないです!」

 

と報告し、魚の元へ。水中にいたので、すっかり元気を取り戻した魚。苦戦しながらも引き上げ友人に見せると・・・

 

友人「デカイ!これ超えてない?!!」

 

とのコメントを頂けたので、間違いなく150オーバー確定と安心し胸を撫で下ろした。

だが実は、この時の友人の超えてるの意味を私は履き違えていた。

 

友人と二人で魚体を傷つけないようにゆっくりと岸上げした。やっぱりデカイ!!

150オーバーってこんなデカイのか!本当にカッコいい魚だなあ。

惚れ惚れしていると、友人がメジャーを当ててくれた。事件はここから始まった

 

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お!150超えて・・・ん?え?

 

「ちょっと測り直しましょう」

 

再びスケールを当てる。????

 

「ちょっともう一回お願いします」

 

またまたスケールを当て直す。友人に片方のスケールを押さえてもらった。

・・・・ひゃ・・ひゃくろくじゅ?

 

おそらく人生でこれ以上ナチュラルに腰を抜かす事は、もう二度とないと思う。気付いたら身体の力が抜け、ぶっ倒れてしまった。

 

試しに隣に寝転んでみた。


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自分は身長が165㎝しかないのだが、殆ど変わらない。。。

 


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↑ちなみにこれが二匹目の141㎝。比べるとサイズの違いは明らかだった。

 

完全にパニックになるワシ。幻の幻である160オーバーかもしれない魚が、目の前にいる。

冷静になってみたが、確かにどう考えても150じゃ効かないよな。最初の一匹目が146だから、そこからたった4センチ足したサイズにしては、あまりにも大きすぎる。

 

友人の〈超えてない?!〉は150じゃなくて、160を指していたとの事だった。

 

パニック状態に陥り、どうして良いかわからない私に友人は、正式に測ろう。という提案をしてくれた。

少し悩んだが、後腐れないように正式に測ることを決めた。再び魚には川に帰宅してもらい、先輩アオ師の方から検寸台をお借りできる事になった。

 

更には現場に違う先輩アオ師の方が、計測の応援に駆けつけてくれる事になった。

皆様の応援や手伝いがあった事、本当に感謝です。

 

先輩アオ師の方も魚体をみて、160あるなと言ってくれた。

検寸台に先程のアオを乗せ、全長を測る


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計測結果 162㎝ 

 

超えていた・・・


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幻の幻と言われた160オーバーが私の前で横たわっている。

更に胴回り。


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105センチ。

 

推定70キロあるかもとの事。

 


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圧倒的な太さ。鱗のサイズもやばい。俺の人差し指が8センチ。親指が5センチちょいである。ポテトチップスサイズとはまさにこの事である。

 


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ヒレも、俺の手よりデカイ。規格外すぎる。この子は胸ヒレが短い個体だと思ったが、そもそもがでかすぎる。。。

 

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涙さえ出ないくらい、パニック状態。気持ちが追い付かず、どうしたら良いかわからなくなった。先輩アオ師の方に協力頂き、友人のシャッターで写真を撮ってもらった。

 

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先輩アオ師の方にアドバイスを頂きながら、写真を数枚撮った。

正直もう、何が起こってるのか、俺が今何してんのかとか、全く分からなくなってるくらいパニック状態だった。

 

数枚写真を撮って、後は水中写真をとり、リリースをしようとなった。

魚と共に入水。


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手を広げても尾びれまでギリギリ届くか、届かないか。重すぎて俺が上手く持てないせいで、上手く写真が撮れない。

 


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魚体が上がらない・・・でももう、これでいいや。逃がそう。

 

結局入水しての写真は重すぎてまともに撮れなかったが今の自分にはもう関係なかった。とりあえず無事にリリースさせなければ。

 

と思ったのだが、また要らん世話だったよう。深場まで連れていくと自分で普通に泳ぎ、巨大な尾びれを強くはためかせ闇の中へ消えていった。





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幻の幻よ。去らば。本当にありがとう・・・。

もし可能ならば、また会いに来てほしいな・・・。

 

この日は先輩アオ師の方から為になる話をして頂きしばらく川で余韻に浸っていたが、急に大雨が降ってきた為別れた。本当にありがとうございました。

 

友人も北浦で釣りをしていたのに、こんなに付き合わせて申し訳なかった。感謝しかない。

 

〈もしかしたら、前から跳ねてたあのデカイアオだったのかもね〉

 

友人と二人でそんな話になった。あくまで推測でしかない。でももしそうだったら、本当にドラマ魚だったなあ。

 

友人を見送り、雷まで鳴ってきたので一度釣具を畳み、近くのコンビニへ避難した。

 

雨足は更に強くなり、現場には当分戻れない。先程の写真を見返しながら時間を潰した。

雨が上がったのは夜中。夜も遅いので竿を出すのは朝で良いや。そのまま就寝した。

 

朝起きると晴れていた。竿は一本だけ出し、川辺で余韻に浸っていた。

一日経っても全く実感が湧かず、夢なんじゃないかと写真を見ながら口を何度も噛んだが、やっぱり痛い。そもそもアオの下敷きになったりして、噛む前から全身痛い。


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ウェーダーにテントウムシがたかっておせっせ中。初めてが俺の死にレンギョ臭いウェーダーなんかでごめんね。。。

 

この日は昼から急に雹が降ってきた為、強制終了。

このあと、検寸台を貸していただいたアオ師の方の元へ。検寸台を返しただけではなく、おめでとうと言って頂けたり、更に他の先輩アオ師や、日本記録持ちの凄い先輩アオ師の方ともお話をして頂けた。記念としてアイテムまで頂けて、本当に感謝です。

 

皆様には本当に感謝してもしきれません。真剣に魚の扱いを考えて、生態を考えて釣りをしているホンモノな方々ばかり。

更にアオウオが好きになりました。

しばらく話し込んでしまい、貴重な時間を頂き申し訳ない。ありがとうございました。

 

皆様と別れ帰宅。これで本当に自分のシーズンは終わり。眩しい夕焼けを浴びながら、帰路についた。


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今年は初ゲットに二週連続ゲットを体験することが出来ただけでなく、夢の160オーバーにまで出会う事が出来た。

 

今を思えば、もしあの160が跳ねていたあいつだったとしたら、毎週俺達を見ていて、未だにスタートラインにも立てていなかった俺に対して、そこに立つ為の最後の試練を与えに来てくれたのかな。

 

あのアオに言いたい。

俺は上手くファイト出来ていたかい?まだまだ慣れない俺だけど、お陰できっとスタートラインくらいには立てたんじゃないかな?って。

 

我ながらくっさい話だが、このアオには本当に感謝している。

人生で嬉しかった魚トップ3には間違いなく入る。てか、ワンちゃんNo.1かも笑


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2年間周りだけ釣れて自分だけボウズを体験した。そしてそんな奴の3年目が、まさかこんな形になるとは、俺も友人達も誰もが思わなかっただろう。

 

ぶっ込みは釣れれば結局運、釣れなければ実力不足精進せよ。単純だ。でもその運を少しでもリアルにする為に日々考えて、前進する。分からなくなっても、絶対に足だけは止めてはいけない。もちろん楽しむことだけは絶対に忘れずにね。

 

いろいろ考えて挑んだが、今シーズン釣れた3匹も、結局最終的には運が良かったに過ぎない。

でも、絶対に諦めないで川辺に立ち続けた。3年間かけた短い一歩でも、絶対に止まらず進んでいく事は決して無駄にはならなかった。諦めなければ、必ずその日は訪れる。だから絶対に諦めない自信もあった。

 

 

だって出会えたら、辛い日常や出来事をその一瞬、全て吹き飛ばしてくれる魚に出会るんだから。だからこれからもきっと諦めない。

 

幸せだね、うん。


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我ながらきったねえ良い笑顔ができてると思う!!3年間の集大成、そしてようやくスタートラインに足を揃えることができた。

 

来年、いや、今度からは時間を見つけていろんなシーズンのこいつらを見てみたいな!

 

2021年、本当に最高のシーズンでした!!

まだまだスタートラインに立ったばかり、99.9%分からないから楽しめる事だらけだ!!最高だ!!


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またな!!!!

 

 

 

最後に、検寸台を貸して頂いたり、計測を手伝って頂いたり、おめでとうと声をかけてくれたり、アドバイスをくれた優しいアオ師の皆様、本当にありがとうございました🙇

後は、北浦で自分の釣りをしていたのにも関わらず、躊躇なくサポートに来てくれて、最後の最後までサポートしてくれた友人、本当にありがとう。

皆様の力のお陰で、記憶にも記録にも残る最高の魚達に会うことができました。

本当に最高のシーズン、幸せでした。

 

2021シーズン 完

 

 

 

 

 

青い桜に魅せられて3年目(アオ編3)

2021年2月、再び友人と三人で集まりポイントを選定。去年のポイントも充分釣れていたが、新しいポイントを開拓し入ることになった。

 

諸々諸事情があり、釣行に行くお金さえなかった私は、遅めの3月27日からシーズンinとなった。

既に私が入る一週前に本命は一本上がり、アタリも多数出ていたとのこと。

期待は出来るが、昨年の事もあり少々自信をなくしていた私。とはいえ準備して、やれる事はやったつもりなので、後はどっしり構えて全力で楽しもう。なにより釣りは趣味、釣れない時間を全力で楽しむ事に、多くの意味と醍醐味が詰まってる筈だ。

 

3月27日~3月28日

釣行初日、いつも通りの待ち時間、川を眺めていたが、生命感に溢れていて、本命の抜けもあり、雰囲気はとても良かった。

友人3人と川辺で駄弁る時間、とても楽しいし日々のストレスから解放され気持ちも楽だ。

この日も友人にしっかりヒット。


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慣れた手つきでファイトする友人。流石です。これで三年連続、人の魚ではあるが、本命を拝むことが出来た。

今年のポイントも間違って居ない。 

後は釣るだけ、自信なんかないけど今年こそ。。。


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この週は更に友人が二本目を追加。サイズはともかく超重量級。何匹も見てきたけど流石にびっくりで分厚く、三人掛かりでようやくランディング出来た。

 

この週、私は釣ることが出来なかったけど、本命の存在はしっかり確認できた。後は本当に釣りたい。

 

翌週4月3日~4月4日も参戦。

雰囲気は相変わらず良く、魚の数も多い。

この日は午前中は特になにも起こらなかったが、夕刻、二人で爆睡していた中、センサー音で叩き起こされる。友人の竿に本命が掛かった。

今回の魚は、かなり強く見え、友人自身も今までで掛けた中でもかなり強い方だと言っていた。


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サイズも140センチに近くなり、日が経つ毎に魚も元気になっていく。友人は去年、160センチという壁を突破しているが、誰が釣ることになっても良いから、一度は見てみたい。果たしてこのポイントにも160を超える幻の幻は現れるんだろうか。。。

 

この翌日、友人がもう一匹釣り上げてこの週は終了。この日を境に、私は今までの釣竿一本体制を辞め、新しく石鯛竿を新調した。翌週からは少しでも魚と会える可能性を上げるために、二本体制で望む。


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俺の好きな緑色が基調になる、渋くてカッコよい石鯛竿。この竿、めちゃくちゃカッコいいんだけど。。。


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何故か竿尻が紫色に塗装されてる。。台無しじゃん!!・゜・(つД`)・゜・。せっかくの渋いカッコよさが、この紫のせいでむちゃくちゃ奇抜な竿みたいになっちゃってる。。暇な時に削るか。。。

友人に見せても笑われ、ちょっと可愛そうな御披露目となったが、翌釣行からはバンバン釣り場に立って結果を出して貰うしかない!期待は充分。

 

竿を新調し、二本体制で望んだ4月11日~4月12日。

この日も最初からアタリがある訳ではなく、静かな雰囲気を川辺で過ごした。ただ、この週辺りから明らかにいつもより巨大な本命の抜けが確認出来るようになったり、更に雰囲気は増している。

お前が噂の160なのか。。。

 

川辺で弁当食ったり、寝たり。幸い天気も良くて居るだけでも心地よい。ただ唯一、気になる事は今年はハクレンのご遺体が多すぎて悪臭が半端ないという事。まあ正直もう馴れてきた。

日没時間になり、餌を巻いて、夜のアタリに備える。個人的には、もうしばらく当たらないかなと考え、トイレ+ポテト食いたくなったので友人に竿を見ていてもらい、一人近くのコンビニに買い出しに向かった。

すると19時55分頃、友人からこんな連絡が届く。


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コンビニで呑気に排泄していた私は一気に緊張モードに。ティッシュさえまともに取れない。嘘だろ。3年間で初めてのアタリがコンビニのトイレで排泄中の時になんて💦

世界一緊張感がある排泄を終え、コンビニで頼んだ揚げ物を受け取りコンビニを駆け出した。

 

現場に戻ったのが20時10分頃。友人が針が外れず向こうが暴れないよう、魚をコントロールしてくれていた。

魚は沖に出ている!と指示を受け、竿をバトンタッチ。改めて、追い合わせの意味も含めフッキング!!

ついに、自身の竿に間違いなく本命と理解できる重みが乗った!後ろから友人が落ちついて!!と声を掛けてくれていたお陰で、自分自身驚くほど冷静になれた。

沖に出ていたお陰である程度、沖で弱らせて寄せることができる。今まで人がファイトしていたのは沢山見てきたので、手前で暴れさせる事がこのポイントでは一番危ないとわかっていた。

無理矢理引っ張らず竿で魚の声を聞き取りながら、行かせるときは行かせて、巻ける時は慎重に糸を巻きとった。

もしかしたら大物釣りで一番慎重にファイトしたかもしれない。

ついに手前に魚がよってきた。しかし予想以上にスタミナがあり、まだ完全に弱らせられていない。手前の障害物に糸がスレ始める。今まで冷静だったが、ここに来てパニックに陥りそうになった。必死に自分に落ち着けと、心の中で言い聞かせた。

心の声は次第に口に出てくるようになる。

 

「頼むよ、お願いだから、もう上がってくれ!!」

 

願いが通じたのか、ついにアオウオが顔を上げた。バフっという低い声。空気を吸ったのだ!!

ファイトは終盤、一度空気を吸ったくらいではまた水中に戻っていってしまう。とはいえ、もうドラグを引き絞るような抵抗力はなくなっていた。クラッチを切り指ドラグに変更。急な暴走に対応する為だ。

友人はブルーシートを持ち、いつでもランディング出来るように構えてくれている。

ひたすらリフトして、もう一度アオに空気を吸わせ、ランディングポイントに魚を誘導する。

 

「とった!!!」

 

友人の声が響き渡った。竿を置き、自分も入水しアオウオを持ちあげランディング。魚体を傷つけないよう、友人とゆっくりゆっくりとランディングポイントに運ぶ。この時、既に自分は涙目だった。

 

そしてついに、その時が訪れた。

 

俺&友人「やったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

狙い始めて三年目、2021年4月11日、20時半頃。

この瞬間だけを信じ楽しんできた。二年前、釣るまで諦めないという言葉を胸に刻んで。。。

 

友人と泣きながら抱きあった。握手して、私はその場に泣き崩れ、倒れ込んだ。

力が抜け倒れた俺の横には、夢にまで見た魚が横たわっている。


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最後の力を振り絞り、ブルーシートについた水を顔面に擦り付け顔を冷やし、その魚体に顔を伏した。

涙は全く止まってくれない。でも最高の気分だった。


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長くて長くて、心のどこかでは、一生会えないんじゃないかと思っていた。何度も何度も口の中をかんだ。痛いから夢じゃないんだと再確認して、また号泣した。


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そっと魚体に手を置いた。

辛い私生活も、疲れも全てを吹き飛ばしてくれたアオウオを、涙で霞んだ目で眺めて思った。

 

俺ってなんだかんだ幸せ者かもな。。

 

測定と写真撮影は翌朝一番に行った。

146センチ。初の魚体が140オーバー。個人的には出来すぎだった。


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重くて腰が砕けそう。でもこんなに心の底から笑顔になれたのは本当に久しぶりだと思う。


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こんな顔してるけど、本当に最高の気分。魚体がとても綺麗な個体。友人と協力したお陰で傷も付かず最高な写真も撮れた。

 

そろそろアオ君もうんざりしてるだろうからリリースしてあげよう。本当はずっと見ていたかった。

リリースの瞬間、力強くアオウオの背中を押す。


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正直、アオウオに俺が力添えする必要なんて一ミリもないくらい元気で、俺が目指した三年間はあっという間に川の深場に消えていった。


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涙が込み上げた。ありがとうね。。。本当にありがとう。

 

最高の気分で、川を上がる。

 

そこで一つ気がついた。写真撮影中は一ミリも気にならなかったのだが、太りすぎて今まで着ていたウェーダーがちゃんと着れていなくてどんどん下がっていき、ズボンからパンツまでびしょびしょになってしまっていた。

相変わらず、スマートに終われない俺。まあこれで良いや笑。今は最高の気分だから。

 

気を取り直し、再び仕掛けを放る。川辺で友人と話ながら過ごす。友人も三年間ずっと俺が釣ることを願いながら一緒に釣り場に立ってくれていたので、本当に感謝しかない。

お互い肩の荷が降り、これでこれからも存分、アオウオ釣りを楽しむことができる。

 

その日は友人の竿にもヒット!もう慣れた手つきでファイトしている。このファイトを身近で見続けられたのも、俺がバラさず釣り上げられた最もな理由の一つだ。


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無事釣りあげられた150センチの良型。友人は去年、150センチ代を飛び越えて160.5を釣り上げているのでこれが初の150センチ代!おめでとう!

まさかのダブルゲットまで出来て、この日は二人大満足で帰路についた。

 

翌週4月18日~4月19日。

久しぶりに三人が揃った釣行。

先週に引き続き、朝にめちゃくちゃデカイ本命の抜けを確認。マジデカイ。。

この日は朝からハクレン釣りをしながら気長に待った。死にハクレンが多い中、時々生きているハクレンも泳いでいた為、釣れるかなあと思いチャレンジ。遠いながらも触りがあり期待を持てたが、なかなか本アタリが出ない。

すると、友人がヒット!しばらくして自分にもヒット!!正体は。。。


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もうお決まり。アメナマちゃんです。

結局ハクレンは掛からず、ふと石鯛竿に目をやると、なんとブンブン揺れている!!

 

友人に向かって

「竿当たってますよ!!」

と伝えると友人が

「あれ沼さんの竿だよ!!」

もはや、自分の竿かもわからぬくらい冷静さを失う俺。レンギョ釣りを中断し急いで竿に駆け寄る。

フッキングが無事に決まるも、今回の魚は前のように沖に走らずひたすら手前で暴れまくっていた。

手前には障害物が多く、かなり厄介。案の定糸が障害物に擦れて、思うようにファイトできない。

慎重になればなるほど主導権は魚に移り、好き勝手やられてしまう。まずい。。。

らちが明かないので、一か八か指でスプールを押さえてリフト。向こうもかなり消耗していたらしく、意外と素直に浮いてくる。

浮いて、潜られを繰り返し、ようやく弱った所を友人二人の協力で無事にランディング。

 

私「よっしゃあああああ!!!」

 

まさかの二週連続ゲット!!先週の魚よりサイズは小さそうだが、太い!!


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サイズは141センチ。太さは間違いなくこちらに軍配が上がるだろう。

でもそんなことどうでも良い。もはやサイズなんて関係なしに喜べる魅力がこの魚にはある。


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この魚は先週の魚に比べ、魚体が斑模様に彩られめちゃくちゃカッコいい!一匹一匹に魅力がある。本当に良い魚!


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嬉しくて、腕枕させて貰った。普段陸上じゃなかなか起こさない胸ヒレを起こし顔面を抑え込まれた。相変わらずワシ、嫌われてそう。

 

二週連続で来てくれるなんて、これ以上のドラマがあるのだろうか。。。三年間諦めないで楽しみ続けて、本当に良かった。

 

リリース前に水中写真をパシャり。


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また泣いてるよ、汚い顔だわ。でも本当に最高な気分なのでこれでよし。

感謝の言葉を述べ、リリース。ありがとう


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あ、ウェーダー新調しました。漁師とか農家の人みたいとひたすら言われます。誉め言葉だよな?。。

 

二週連続釣れて、大満足な私。気を取り直し仕掛けを放る。

友人二人の協力で今回も無事に魚を見ることが出来た。本当に感謝。このあとは川辺で三人で祝杯をあげながらお菓子食べて話に花が咲いていた。

この日の夕方、再び友人に魚がヒットする。なかなか手前をうろうろする厄介なファイター、だが友人は難なく無事にゲット。自分のよりもデカイ、ナイスコンディションの魚でした。


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本当に太いな。

今年は参加してから毎週魚が見れている。

本当に凄い。挑戦一年目に友人と毎日ボウズ食らってたのが嘘のような釣れっぷり。

このあとは雨が降り、寒い時間が続く。翌朝晴れるも、今回は友人の竿に何か反応があるが、これ以上釣れることなく終了した。

 

翌週4月25日~4月26日(今シーズン最終日)

今回が三人での最終日。

相変わらず、桁違いにデカイ本命が跳ねている川辺。あいつが竿に食い付く事はあるのか。。。

最後にみんなで釣れると良いねと話していたが、そんな心配を吹き飛ばすかのように、友人が無双した。

 

朝一、友人の竿にヒット!!またもなかなか良いサイズそう!言うまでもなく友人の勝利。こいつも150オーバー!日に日にサイズが上がってる!最終日なので、このアオに協力してもらい、三人で記念撮影をした。


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皆がシーズンをやりきったよい顔を出来たかな。

その後もすぐに友人がもう一匹を捕獲


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こやつも良いサイズ。障害物に糸が絡みかなり苦戦していたが、取れてしまうんだから流石である。

まさかの速い内に二匹捕獲してしまう最終日。本当に良い場所に入れたんだなあと確信した。

更に快進撃は続く。。。その後に友人が久しぶりに鯉を追加。


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綺麗な鯉だった。昨年の今頃俺も鯉釣ったなあ。。。

 

昼時に再び友人の竿に本命ヒット!!


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まさかの三連発!!!友人通算20本目!流石としか言えない連発劇。最後まで本命を沢山見る事が出来た。

最後なので、三人で特にいろいろしゃべってたかな。名残惜しいというか、寂しいというか。本当にくだらない話が多いのが、楽で楽しい。

二日目ラストも皆で話ながら楽しく最後、川辺で過ごした。最後に友人の竿にアタリが出たが、最後まで食い込むに至らず。

2021年シーズンが終わった。

 

今シーズン、ついに本命と出会う事が出来た。三年間、釣れなくても本気で楽しんだが、こんなに本気で笑って泣ける魚に出会えて本当に幸せすぎる。初挑戦の時、エイやサメ程の熱意のなかった私は、今同じくらいこの魚にはまってしまっている。

一匹一匹が一生に残る思い出になる。釣り人として記憶に残る釣行がこんなにもできるなんて最高じゃないか。。。

今シーズンは本当に満足だった。沢山サポートしてくれて一匹に辿り着かせてくれた友人達には本当に感謝。そして釣れた事を本気で祝福してくれた釣り仲間達にも本当に感謝。

思ってる以上に周りを巻き込んで釣りをしていたようで、釣れた時いろんな人から連絡もらって驚いた。ありがとうございました。

 

そういえば、三週くらい連続で水面を爆発させていた巨大な本命。俺が釣りたいなんてデカイ口は叩けないけど、あいつもいつか見てみたいね。幻の幻、160ランカーの世界を。。。

 

これにて三人での2021年シーズンは終了!!最高なシーズンになった!!

友人二人、そして会いに来てくれたアオ達!!本当にありがとう!!


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そして、この釣行を終えた翌週。私はポイント調査もかねて一人で居残り練をする事になる。




 

 

青い桜に魅せられて2年目(アオ編2)

2020年3月、再び幻の魚を追った。昨年は悔しい思いをし、今年こそ釣るぞ!と意気込みだけは充分。今年はポイントを皆で話し合い開拓し、納得する場所を選んだ。  

 

ちなみにこの間、鯉竿でのファイトに慣れなていない俺は、友人に付き合って貰いながら昨年購入した巨鯉HH525Bで魚を掛けて特訓したりもしていた。

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鯉は数本釣らせて貰いながら、とりあえず竿の操作性やギミックの確認をした。まあ今まで短い竿ばかり使っていた俺にとっては未知の世界。正直勝手が違うので苦戦もしばしば。。。


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にしても綺麗な鯉。意識して見るとめちゃくちゃ整ってる綺麗な魚だ。

 

鯉の次はアオには及ばないけど、そこそこ重量級なターゲット、ソウギョ


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こちらに関してはまあ、引かなかった笑。首降りが強いので竿の慣らしにはなったとは思う。でもソウギョ自体普通に嬉しい。実は釣れてくる殆どがメーターといわれるソウギョでさえ、メーターを切ったのしか釣れたことなかった私はこいつが初メーター。良い練習相手でした。


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あんまり太くなく、スラッとした魚体。

 

そんなこんなで、本命を掛けてばらさないように竿の扱いはしっかりお勉強してきた。まあ、本命は先の2匹とは桁違いだからまだまだ不安しかなかったんですけどね笑。

 

そんなこんなで3月1日から今年も釣り開始。


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初日はまだかなり寒く、水面には靄がかかっていた。その日は唯一友人の竿のセンサーがなったが正体はサギくん笑。ただただラインにぶつかっただけだった。

 

そこから2週間、自分は参加する事ができなかったが、その間に友人が事件を起こしていた。

160センチ×2本を同日に釣り上げていたのだ。ヤバすぎる。。。160オーバーは話を聞くに幻の更に幻。前よりは狙いやすくなったとは言うが、見れない人は一生見れないサイズらしい。。。ああ、、見てみたかったなあ。一度で良いからそんなヤバイやつ見てみたい。。

 

そんなこんなで2週間後からは私も出撃。この日は今年から参戦した友人と三人で川辺で過ごす。

この日もアタリはあり、友人の竿にアタリがあるもフックアップしなかったり、自分以外の二人にはしっかりと反応があった。翌日、雨がシトシトと降りしきる中、今年初挑戦だった友人の竿にアタリ、無事に本命をゲット!


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まさかの初挑戦でゲット!すげえ強運!私は今シーズンは生で見る初のアオだったので、今年は魚の数が多いと一安心。

この日は雨足も強まったので、この魚をリリースし、ラーメン食べてすぐに帰路についた。

 

翌週も参加。

この週はついに自分の仕掛けの付近や上に本命が躍り出る、去年を思い出させる場面に出くわした。これは期待できる!

川辺で緊張の時を過ごす。が、なかなか餌に食いついて貰えない。この週は友人が一本追加し終了。

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最後まで自分の餌には食いついて貰えなかった。

更に次の週も友人が1本釣り上げ、またまた魚の姿を拝むことが出来た。

 

自分が釣れてないとはいえ、毎週本命が見れるとか、去年1年間から見たら絶対あり得なかったし、完全にこの魚の虜になっている俺は、見れるだけでも幸せではあった。 

でもさあ、俺も釣りたい。

せめて魚からの反応がほしい。自分のどこに原因があるか、何が悪いか。改めて底探りからやり直しても、良い場所にもうちこめているし、本当にわからなかった。

わからないけど、突っ走るしかない。もう今シーズンの挑戦も終盤に差し掛かっていた。

その翌週は大雨の為、私は釣りを断念。

二週間後に再び挑んだ。

 

いつものように川辺に立ったが、どうもおかしい。川の雰囲気が変わっていた。なんといっていいのか、口で表すのが難しいが、なにか先週までとは違う。。。そんな感じがした。

不安を覚えながらも、釣り開始。毎朝ボコボコ跳ねていたアオの抜けが、この日はどうも見られない。

友人とアメナマを釣ってすごす



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まあ、本当にどこにでもいるし、餌を投げれば1分と待たずにアタリある。暇潰しに遊んでくれる相手としては、良い魚だなあ。

 

しばらくして川辺で寝て過ごす。起きて隣を見ると。。。


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う、、牛???なんか牛がいてずっとこっちを見ながらう○ちをボトボト垂らしていた。

イビキうるさくてごめんね。。。

草をバリバリ食べていたり、こっちガン見してきたり。仲間だとでも思われたかな。いうて俺と牛の違いって角があるかないかくらいだから大差ないか。

なんて釣れなすぎてよくわからない事さえ頭に浮かぶようになってきた。いっそ牛になりたい。

 

なにも起こらず最終日昼頃、風がかなり強くなり自分の竿のセンサーが何度も入ってしまうようになった。

3回目くらいのセンサーON。もう友人とお互い、また風だよーなんてダラダラ竿に向かっていた。

すると、どうにも俺の竿がユラユラ揺れ、糸が引き出されていく。

まじか!!魚だ!!

二人で声を揃えて驚き、私は生まれたての小鹿を超えるくらい脚がガクガク震え、ウェーダーが履けない笑。

なんとか履けたタイミングで魚はまだ沖に向かって進んでいた!すかさず竿を持ちフッキング!!

のった!!!

友人がランディングの準備を始める。

しかし、、、

軽い。アオこんなに軽いか?ん?バレてる?もはや手応えさえ感じない軽い引き。

 

すると水面からひょっこりと魚が飛び出してきた。正体は鯉。今まで殆どが本命のアタリだったので、本命以外の魚を見たのは久しぶりだった。


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いやあ、嬉しいんだけど、本当は。。。

初めてタニシで釣れた魚だったので嬉かった反面、本命ではなかったことにがっくり。

普段は正直、釣れればなんでも嬉しいんだけど今回ばかりはね。。


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でもめちゃくちゃ綺麗な鯉でしょ?

「間違ってはないかも知れないけど、まだまだ君には早いよ」

って鯉くんが伝えに来てくれたのかな。。。

悔しかったけど、答えに近づく1匹になったのかなと、そう考えると前進できたような気がした。

この週はこの鯉を釣り上げ終了。

翌週も私のワガママを聞いてもらい、出撃したものの、友人に鯉。後はアメナマ釣りで終了。


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これにて、2020年シーズンは幕を閉じた

今年も釣ることができずに終了してしまった。この時は、もう正直自分で出来ることはやってきたつもりでいたし、もう何故釣れないのか全くわからなかった。

それと同時に今までのどの魚よりも苦戦する事になると確信した。

でも、昨年の最後に誓った、釣るまで諦めないは曲げるつもりもない。釣れない事で得れる事もあるし、なによりまだまだたった2年目だ。

いつか絶対にこの魚を抱いて見せる。再びそう決意をし、現場を離れた。

多分今の俺、釣れたら絶対泣いちゃうだろうな笑。


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友人のアオとの別れのシーンが、とても胸を熱くする。

 

いつか必ずいや、来年、必ず釣るぞ。

 

 

 

青い桜に魅せられて(アオ編①)

2019年、3月17日

前日に茨城県の大洗で、会社の同期とキャンプをしていた私は、友人がとある魚を狙っているという話を聞き、一目見てみたいなあと思い、途中合流。

 

その魚は幻とか言われたりしていた。

滅多に見れるものではないと聞いていて、ただそんな魚を自分の買いたての一眼レフで撮ってみたいなあなんて、軽い気持ちで友人の釣行に参加した。

 

その日は天気が悪くて、川辺でひたすらアタリを待つスタイルのこの釣りには最悪のコンディションだった。

 

途中、買い出しに30分ほど離れたスーパーへ歩いていると、台風でも来てるのかと思わせる豪雨。もちろん傘は持っていない

ひたすらビショビショ。寒い。辛い。

 

もちろんアタリなんて皆無な世界で、この当時正直離島でエイやサメに向けるほどの情熱をこの釣りに感じない私は、来週は行かなくていっかな~なんて気分で川をぼーっと眺めながら、ナマズ釣りをしていた

 


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ほんとどこにでもいるなコイツ。

 

その時、川の真ん中で、とてつもない爆発がおきた。

は??なに?え?魚???爆弾??

一瞬パニックになり、身体が震えた。友人が言うにはそいつが、本命。

 

その名をアオウオと言うらしい。

 

企画の外、まさに幻が躍り出た瞬間を目の当たりにし、感動や畏怖の念、様々な感情が身体を駆け巡った。

 

これが間接的だが、私とアオの初めての出会い。この日の釣行はこの後なにがある訳もなく終了したが、あの「抜け」を目の当たりにしてから、自分のアオウオに対しての気持ちが強くなり、見れたらいいなーから見たいへとハッキリ変わったのである。

 

その翌週末、場所を変えて友人と再び川に立っていた。自身もスーパーで買ったシジミを用意し、形だけのアオ釣りに参加した。


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今見るとかなりいい加減笑。この時は、正直友人が釣ってくれて、自分が写真を撮りたいという意識が強く、そこまで本気ではなかった。

 

仕事の夜勤明けで直行参加した私は川辺ですぐに眠りについた。

二時間ほど経ち、目が覚めると大雨が降っており、身体も寝袋もビショビショ。雨が降っても起きないとは。。。とんでもなく冷えた身体は、この釣りの過酷さを物語っていただろう。簡単に取れる魚ではないと。

 

しばらくして、雨が上がり、ポイントの横でレンギョ釣りをした。依然、本命のアタリはなく氷点下の時を竿の前で過ごす。

この時は、もう一人友人と合流し、話に花が咲いた。こんな一時も良いなと思った。

 

翌日、友人が一人帰宅し、釣り再開。


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荷物凍っとる笑。寒すぎるんじゃああああ!!!

 

以前本命のアタリもなく、昼を回った。自分は疲労が溜まり、河川敷でポカポカ陽気を浴び爆睡していた。ワシの世界を揺るがす大イビキさえかきけす強風が河川敷に吹き荒れていて、他の釣りができる状況でもなかった。

 

数時間経って、突如リールのクリック音により目を覚ます。

遠くを見ると友人が竿を弧に曲げ、なにかと闘っている。急いで向かうと

 

友人「アオだ!!!」

 

人の魚なのに何故かめちゃくちゃ緊張してきた。なにより友人のこの魚に対する気持ちの真剣さは話を聞いていて痛いほど自分に伝わっていたからだ。首降りの力はかなり強くみえ、竿が絞られる度にヒヤヒヤしたが、友人の安定したファイトで徐々に抵抗が弱まっていく。

ファイトが終盤に差し掛かり、ついにアオが水面に表れる。初めて見るアオウオは、とにかく巨大、淡水魚に似つかわしくないサイズに迫力もある。とにかく形容しがたく、独特で異質な存在だった。

アオは完全にギブアップ。頭を上げ降参していた。あとはランディング!。。

しかし、隣で出ている竿のミチイトと絡んでこれ以上こちらに寄せられない。。。

既に友人の夢の魚は、私の夢の魚にもなっていた。私は躊躇なく網を持ち入水。

アオとの水中戦へと持ち越んだ。力強い魚体に翻弄されながらも、無事に網にアオウオを入れ、岸にいる友人に渡す。

 

友人「とったああああ!!!」

 

幻といわれた魚はついに岸に横たわった。緊張が喜びに変わった瞬間。満身創痍の2人の歓喜は今でも忘れられない。


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本人は大きい方ではないと言うが、淡水魚でこのサイズ。あまりにもデカイだろ。。。


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でっぷりと太った身体。なにより、サイズ以上の迫力と感動が、この魚にはあるんだなと直接魚体を見て感じる。いやあ、俺は釣ってないのに最高の気分だ。

 

この釣行を境に、自分もこの魚を抱いてみたい。掴んでみたい。と思うようになってしまった。釣り人特有の病にかかったのである。

 

当時短い竿ばかり使っていた私は、この後、短竿が不利になると感じすぐに竿を購入することにした。

当時、鯉竿や石鯛竿の知識が無い私は友人に相談したり、本を読んだりして情報を集めたが、その中でも1番目を引いた竿があった

 

Daiwaメーター倶楽部巨鯉HH525b


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ロッドのパッケージの対象魚に青魚と書かれていた唯一のロッド。自分の直感ですぐにこの竿を購入、翌週からはこの竿をメインに釣りをすることになった。

 

翌週からも友人とずっと川辺に立ち竿を出していたが、友人に鯉がかかっただけだったり、自分に唯一、大きなアタリが来たり、ドキドキする事がある日もあれば、全く竿が揺れない日もあったり。

雨や冷気で身体が凍りつきそうになりながらも、寝袋を身体にまとって耐えていたり。朝になるとくるまっていた寝袋が凍りついてパリパリになっていたのは、本当に驚いた。なんで寝れたんだオレ。。。

 

しかし、川に立てど本命のアタリは一切なく、シーズン終盤。

 

最終日は少し場所を移動し、新地で竿を出すことに。朝から大雨。逃げる場所は無いが、ただ本命のアタリだけを信じて竿をだした


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雨はあがり、その日の夕方。ふと自分の竿を見ると竿先がフワッと揺れていた。すぐさま友人を呼び川を眺めていると、自分の仕掛けの真上を本命が躍り、水面爆発。それが数回続いた。

心拍数が一気にあがり、身体が震えた。もしかしたら幻に触れる事が出来るかも知れない。。

淡い期待を抱きながら待つも、この日は何も起こらず。翌日、最終日に全てをかける。

 

翌朝、仕掛けの打ち返しを行う。すると自分の仕掛けが大きく右にずれて友人の仕掛けと交錯しかけていた。

これで間違いなく、自分の仕掛けに本命がついたと確信。同じ場所へ打ち返し、ただただ緊張の時間を過ごした。

 

昼頃、お昼寝から起き、川に向かうと友人が竿の前に立ち、竿先を見ていた。

友人の竿に本命がついたようで、竿がフワッフワッと揺れていた。

前触れはあるが、なかなか食い込まないもどかしい時間。

そしてしばらくたって、遂に友人の竿が絞り込まれる!

約1ヶ月振りの本命のヒット!!

自分もいつでもサポートできる体制に入り、緊張が走る。以前よりも大きそうなサイズ。

相変わらず強い首振り、しかしスタミナ尽きた本命は無事、友人の手に収まった。


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前に見た個体より明らかにデカイ、いや、まじデカイ。毎回この魚を見ると形容し難い気持ちになり、上手く言葉がでなくなる。いつかこの手に抱きたいと強く思う。また、友人がこうやって喜んでいる姿を、当初の目的通り、記憶に残すシャッターを切れる事、とても幸せに感じた。。。

また来年、釣りに来よう。。次は自分の番だ!!。。。と最後に河川に思いを馳せた。

しかしこれで終わらず!

再び友人の竿から糸が引き出されていき、ファイト開始!後ろで見守っている俺視点でも、さっきより更にデカイ魚であることは容易に理解できた。右へ左へ走る魚の猛攻を上手くいなす友人。結構な時間引き合っていたが、無事にその魚は友人の手に収まった。


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いやいやいやいや。デカすぎ笑笑。そして今までの釣れない釣行が嘘のような二連発。正直現実を理解するのに時間がかかった。幻の魚を1日に2匹も拝む日が来るなんて。。。友人でさえ、こうなるとは思っていなかったはずだ。

 

今まで見たなかで更にでかい。正直、驚きしかなかった。

 

釣れなかった日々のご褒美だったのか?しかしこうなると、初日に自分の竿に躍り出たやつをどうしてもこの手にしたくなった。もう、俺も本当に釣りたかった。

 

だが、最後まで友人の竿に反応があり、更にもう一本小型だが綺麗なアオウオを友人が追加し友人3本、俺0で今年ラスト釣行は終了した。

 

2019年の私の挑戦、ついに魚に出会うことができなかった。友人はしっかり魚に会うことができていた分、単に自分の実力不足。悔しさも多かったが、納得行く事も多かった。足りなかった分を来年までに補って、また一から挑戦する。

釣るまで必ず諦めない。と帰路、友人と自身の心に誓った。

 

島旅、はじまりの大地、『小笠原諸島父島』3(終)

4日目の朝がきた。

 

この日が最後の夜、翌日の夕方には、おがさわら丸に乗り、本土を目指す。

 

ある意味これが最後のチャンスだ。

 

にしても釣りばかりしてるなあ。せっかくだから泳ぐか。

 

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近くの海岸からエントリー。海の中には熱帯魚やハタ達が泳いでいる。水中カメラが欲しくなった。そして、少し沖に泳ぐとなんとネムリブカに遭遇!

 

こちらに全く気付いてないので少し接近しながら観察。しばらくして俺に気付いたのか、さらに沖まで泳いでいった。

ドルフィンスイムでいろんな魚達と一緒に泳いだ時も楽しかったし、いつか危なく無いサメの横を一緒に泳いでみたいなあ。

 

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陸に上がる前に亀さんと一緒に泳ぎ、陸へ。

 

上がって再び釣具屋にこもり、釣具屋の店主や息子さん、お客さんと話しながら過ごす。

明日でお別れなのが寂しくて、なぜか釣り場へ向かうよりこの人達としゃべっていたくなった。

 

いろんな人達と出会えて、今回の旅は間違いなく得るものがたくさんあった。

今日の夜、強くなった自分を奴らに見せつけてやる!!

 

と、その前に、昼もチョコっと。今までワームだったけど餌釣りにシフトチェンジ!

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餌でも釣れるハタくん、怒ってる顔が可愛い。

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1番嬉しかったのは、真っ黄色のベラ!ヤマブキベラ!ただでさえ派手な色のベラちゃんが小笠原では色違いに!綺麗だった。

 

たくさん満足して夕方には宿へ。

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宿のロビーで宿の方や、観光客さんと談笑するのは毎日の日課になっていた。こんなに毎日顔を合わせるんだから、当たり前だろう。にしても楽しい。会話が止まらん。

『今夜も頑張ってね!』

その言葉に励まされ、今回は絶対釣り上げます!と、再度腹をくくった。

 

さあ、最後の夜。釣り場に行く前に会いたい方に会いに。多忙な方で、なかなか会えなかったけどようやく!

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学生の時にドルフィンスイムの時に船の操縦をしてくれていた船長さん。釣りもかなりの腕らしく、勝手に師匠って呼んでました笑。

 

サメを釣りに来たことを話すと

『面白いやつだなー!普通食える魚だろ!でも〇〇にはよくサメがいるし、良いかもな!』

 

と、ツンツンしながら良い情報をくれたり良い方です。。。笑

 

なんとか挨拶ができ、気を取り直し最後の釣りへ。

 


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島は静かだが、堤防には他の釣り客や、観光客で賑わっていた。

 さっそく釣竿をセット。今回は体も休めたいし、集中もしたかったのでぶっ込み1本でのぞんだ

 

しばらくの待ちの時間、いろんなことを考えた。行きの船での妄想は、今ではしっかりと知識と考えを持ち、どうすれば、こうされたらどう返すかをひたすら頭でシュミレーションする。

 

そして、ついにその時は訪れた。

 

『ギーーーー』

ゆったりとしたスピードで糸が出されていく。決戦の火蓋が切って落とされた。

 

ものすごい力でゆっくりとドラグが出て行く。フルドラグを物ともしない力で、どうする事も出来ない時間が続く。

指をスプールに当て、ドラグを増す。指が焼けていく、次第にスプールとドラグが持てないくらい熱くなる。

さっき買っていた綾鷹をかけて冷やす。

指は真っ赤になっていたが、アドレナリンが味方してそこまで痛くはなかった。

張り付いて、なおも沖に走り続けるエイ、しかし一瞬エイの体が地面から離れた!

 

ここを見逃さず、思いっきりリフトを掛ける。体が倒れんばかりの全力でリフト。

流石のエイもこれにはなかなか食らったのだろう。抵抗が弱まった!

リフト巻きリフト巻き、出されてリフト巻き

繰り返すにつれ、徐々に手前によってくる。

 

すると向こう方は闘い方を変えてきた。急に水面付近まできてジャボン!!!

跳ねてはいないがヒレを出して水面を踊った。

気を取られているうちに再び急潜水!再び糸を出されるが、抵抗力は間違いなく弱まってきている!最初の頃ほど、ドラグを出す力があちら方にはもうない。

ついに追い詰めた!!

 

しかし、巨大エイは最後の決死の作戦に出る。

フッ。。糸からテンションが消える、バレた?何故?

 

しばらくしてまだ奴は付いていることを知る。奴は最後に手前に一気に走ってきて、海水浴場付近のロープに向かって突進していった。

 

『まずい!!!』

 

竿を水の中に入れてロープでのラインブレイクを防ぐ、無理な体勢から全力で力を加えウカセにかかる。自ら海に入り竿をロープの下にくぐらせた。これでロープが糸を噛む事はない。

ついに決着の時が近付く。

 

エイが浮いた。身体についていたコバンザメが急いで海中に逃げていく。デカイ!!

ついに姿を現した巨大エイ。あと少し。。

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しかし最後の難関、この巨大エイを岸に引っ張りあげるには階段を使ってずり上げる必要があった。

ためらいはなかった。鼻腔と口に手をはめて思いっきり重心を倒し徐々に階段を登らせる。

 

ついにその時は訪れた

 

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この滞在中、何度も私の超えるべき壁として君臨し続けたこの巨大なエイ、マダラエイ。RPGの魔王が如く強靭なパワー、存在感、全てをとっても今旅の集大成に恥じない巨魚だ。

 

針は口にちょこんと掛かっていただけ。

返しにすら届いていなかった。

 

『グオォン!!!』

あり得ない声で鳴き、尻尾は振るだけで風を切る音がする。

 

周りには漁師さんを含むかなりのギャラリーが集まっていた。間違いなく100キロはあるとの事。まあ、そんな事よりついに壁を乗り越えた達成感、ここに来るまでの繋がりが、この魚を呼び寄せてくれた。繋がってくれた皆さんに感謝。

 

気付けば全く動けない、アドレナリンが切れて、指が、身体中が痛い。でも目からは嬉し涙が噴き出していた。多分痛すぎるのも含め笑

 

最後の力を振り絞りマダラエイと入水。疲れたエイの腹に潜り、ひたすら水を送った。しばらくして

『覚えてろよ!!』

と言い残し、海中へと消えていった、ような気がした。

嬉しすぎて、ずっと見てたせいでほとんど写真撮ってないや。

再びぶっ込み開始

マダラエイをリリースしたわずか15分ほどに強烈なアタリ!!

これもかなりの重量感!!

ただただ満身創痍でファイト。姿を見て驚いた

ハンマーヘッドだ!!』

しかもかなりでかい、2.5はありそうだ。

しかし、その瞬間、痛恨のラインブレイク。体力不足も災いし、全くついて行くことが出来ず。また課題ができてしまった。

 

新しい課題は貰ったものの、今回の全てのミッションを達成し、身体中ボロボロになりながら宿へ帰宅。直ぐに眠りについた。

 

最終日

釣具屋に昨日の勝利を報告した。この方達のお陰で釣りが1段階上手くなれた。感謝しても、仕切れない。

『最後の釣りに行ってきな!』

笑顔で送り出された。

『行ってきます!』

 

言われた通り、別れも込めて、最後の海へ。

ぶっこんでいると、なんとこんな真昼間にアタリが!!

 

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釣れたのは60弱のバラハタ。最後は小笠原の海から、美味しいご褒美。とはいえもう帰るのでお帰り頂く。

短時間釣りをして、最後は小笠原の海に一礼

釣れてくれた全ての魚、私を強くしてくれた魚達に感謝。

 

最後は宿の方々と、それぞれまた船で会いましょう!なんて言いながら別れる。

宿の方には

『絶対また来いよ!』

 

と言われた。今でもこの方とは連絡取り合ってよくしてもらっている。出会いに感謝

 

 

出航時間

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島の方が見送りに来てくれる。島の思い出が蘇り、感動する瞬間だ。見送りには仲良くしていた島民もチラホラ。手を振られると、泣きそうになる。。

 

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島が離れていくに連れ、今回の旅がフラッシュバックされていった。悲しい気持ちを押し殺して船から島をのぞみ、叫ぶ。

 

『行ってきます!!!』

 

カツオドリが本土を指して飛び始める。

 

各々の思い出を積んだ船は、夢の島を離れても活気が落ちる事は無かった。

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この遠征を経て、私は釣りにさらなる夢を抱くようになった。島を旅する楽しさ、釣りの楽しさ、全てこの島が再確認させてくれた。

いつか必ず夢を叶えて、島の皆と、出会った仲間達と、笑いながら思い出話が出来れば良いなと思っている。

 

私の旅はまだまだ始まったばかりだ。

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2016年、8月、小笠原諸島父島遠征  完

 

島旅、はじまりの大地、『小笠原諸島父島』2

3日目。

 

再び釣具屋にこもった。店主にいろいろ相談をするとこんな言葉をくれた。

 

『大物釣りをするにも、まず小物から。少し力を抜いて、小物でも狙ってみなよ?大物釣りのヒントは、常に小物が持っているよ。』

 

間違いないよな。せっかく楽しい釣りが出来る場所に居る。今は釣りを楽しもう。前の私はその言葉を深くは理解せず、ただ釣りを楽しんでほしいという店主の気遣いだと思っていた。

 

そして、今になってこの言葉は間違いのないものだと感じる。200キロの魚のヒントは、20センチのハタが持っているし、15センチのエソだって持ってる。ぶっ込みはただ投げてファイトするだけでなく、パズルゲームが如く情報を海から聞き出し、常に巨大魚に対して万全な体制で構える事が必要不可欠だ。

その重要なパズルは魚達が持っている。

 

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さっそく釣れたツチホゼリ。このハタは1番好きなハタ。とても鮮やかな色をしている。

 

 

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いろんな魚を釣り上げていくに連れて、少し感じるものがあった。これをすぐに形にしたい。

 

この日始めてぶっ込みを投入した。

しばらくしてアタリ。今回もかなりの重量だが何故か今までより冷静に対処できた。

 

あっちに行かせたらマズイ。こうさせてみるか?いろいろ試行錯誤をした。この辺りから、minuanoとの息が合ってきた。

次第に、魚の抵抗が弱くなる。今までなすすべもなかった魚が次第に岸により始める

 

どれくらい闘っただろうか?私を怯ませた、ヤツはついに正体を現した。

 

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は?こ、これは??。。。

ただただ驚愕だった。どんな魚が来てもと覚悟を決めていたが、いざ目の前にするとその大きさに、只々、圧倒された。身体には3匹のコバンザメが付いていた。もはやテレビや水族館で見るような巨大魚だ。

 

しかしついに追い詰めた巨大エイ、必ずものにしたい。ここからは砂浜へ、ランディングポイントへと誘導するだけ。

 

しかし、そう簡単には行かなかった。元々腰を痛めている私。エイの決死の潜水についに身体が悲鳴をあげてしまった。

 

腰に急な痛みが走り、その場に付した私。

 

ここぞとばかりにエイはそこを見逃さなかった。

 

最後の力で潜水した巨大エイに対応していく事ができず、再び敗北した。

 

この敗北で、自分のファイトスタイルの見直しが必要な事がわかった。負けたけど、今回は前回とは違い、圧倒的に無理だと思わされることはなかった。後一歩なんだと。

 

身体が痛いので宿で休憩。宿で仲良くなった人達とロビーで談笑して過ごした。ダイビングをしに来た人、学生、旅行に来た夫婦、小笠原に旅しに来る人は初対面でもすぐ仲良くなっていた。

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その後は宿の部屋で仮眠。

 

次に出撃したのは夜。まだサメもエイも釣れていない。この時は、島で仲良くなった観光客の方とライトゲームをしながらぶっ込んでいた。

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ライトゲーム?まあ、小笠原は30センチなんて当たり前な魚達がよく釣れるから楽しかった。

 

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よく釣れるイットウダイの仲間、テリエビス。

にしてもこいつの背びれは鋭く、終いにはエラ蓋にもトゲがあり扱いに困った。しかもなんかヒリヒリするし!

 

旅先で出会った方も良型のハタをゲットしていた。実際の友達でなく、島で仲良くなり繋がれる人達がいる。私が1番、旅で楽しくて、嬉しくてたまらない瞬間だ。

 

そして、その人が帰り、再び静まった世界。ぶっ込み竿に遂にアタリが訪れた。

 

『ギィィィィィィィィィィィ!!!』

 

リールから今までにない、スピードと音で糸が出ていく。すかさず竿を持つ、前回のような重みはない。だが、スピード感のある引き首振り、何が掛かっているかはすぐに理解した。

 

憧れていた、大本命である事も。

 

手前のロープを交わし、階段へ。海に自ら入り迎えに行く、1年前、指をくわえて見ているしか無かった彼らをついに地に伏し、決着を迎えた。

 

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念願のサメである。ネムリブカ、英名ホワイトチップ。

彼らを釣りたくてここまで来た。まだ小柄ではあるが、しっかりとサメの風貌を醸し出し、見ているだけでワクワクする。なにより、ここまでの敗北を重ねた挑戦が遂に実って嬉しかった。本当に魅力的な魚である

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シルエットが完全にサメ。いやはやカッコ良い。ちなみにネムリブカは底生のサメ。遊泳性の強い沖ザメとは違い口が少し下めについている。

 

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オサメサマ抱っこ。口を開けば立派なサメ。てかその断末魔の声上げてるみたいな表情辞めて笑。

 

今までアドバイスをくれた釣具屋の店主や、島民の方のおかげだ。人との長い繋がりがこの魚に結びついてくれた。より一層嬉しくて仕方がない。

 

リリースする時、いろんな感謝の気持ちが高ぶり、少し涙目になった。やったよ。オレ。。

 

その後はしばらく釣りをするもあたりが遠ざかり、島で仲良くなった観光客の子が連絡をくれたので宿に戻り夜通し遊んで、夜中遅く眠りについた。

 

ただ、まだあの大きな壁を崩すには至っていない。サメが最終目標だった今回の旅。もはや私の指針は違う方へ向いていた。

 

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やつに一矢報いたい。今回の旅の集大成。なにを得たかを形にするために。。。

 

満を持して、最後の夜になる、決着の四日目を迎える。

 

 

 

 

島旅、はじまりの大地、『小笠原諸島父島』

釣りを始めて7年目になる2016年。

7年間、ブラックバスと渓流ミャク釣りで過ごし、海とは全く無縁であった私。

 

そんな中で、2015年の秋から車で海に行きだし、アカエイを釣り海にハマった。そしてその年、釣りとは全く関係ない学校の旅行で小笠原諸島父島へと上陸した。

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青い海、ギラギラと身を焼くように熱い太陽。たまらなかった。

その時に、港で出くわしたサメ。

釣りを始めた時に、人生で一度はサメを釣ってみたいと思っていた私はその姿に惚れ惚れし、興奮した。

 

その1年後、私は1人で大型客船、おがさわら丸に乗船していた。

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24時間の船旅、ワクワクし過ぎてたまらなかった。巨大なサメやエイを釣る妄想をしながらすごす船内は、長き24の時の流れを速く感じさせる。

 

夜になっても妄想は止まず、妄想は夢にまで現れた。ハッ!

目覚めると朝の7時。入港まで4時間のところまで来ていた。

外に出る

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ここはどこ?私が知っている海の色ではない。世界ではない。夢のような場所へ、どんどん近付くにつれ妄想はなくなり、何故か緊張していた。

『俺にこんな広い世界を無尽にかけるあの魚達を、釣り上げることができるのだろうか?』

 

不安と期待を胸に、船内でポテトと唐揚げを購入し頬張る。

 

残りの4時間はあっという間だった。

 

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カツオドリ達が、父島への航路を指す。

 

久しぶりに上陸した父島は、1年前と何も変わっていなかった。

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宿に着き、ワクワクしながらすぐに釣り場へ向かう。

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南国さながらの魚が出迎えてくれる。

魚は次々に掛かり、1匹掛かる度に高揚していた。

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これは!!オジサン!こいつは僕の夏休みってゲームをプレイしていた時からずっと釣りたかった魚だ!!

 

もう1人で満面の笑み。初日の夕方から大満足だった。そして、気付いたら夜になっていた。

 

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昼の賑やかな父島は、一部の観光客の声以外をシャットアウト。波の音、魚が跳ねる音が彼方此方からする。

 

ここからが本番、サメ狙いだ。

この遠征前に、新しい相棒、minuano64

 

出会ったばかりで息が合わない仲ではあるが、身を委ねてみることにした。

 

餌は釣具屋で購入したムロアジ

 

小笠原の夜の水面には、波の音、魚が跳ねる音が彼方此方で聞こえ、それ以外の音をすべてシャットアウト。

 

辺りいっぺん静かな雰囲気に包まれていた。

 

そんな中、ついに私のリールが唸り声をあげた。よし!来た!

 

すかさず竿を持つ、その瞬間。

身体が海になぎ倒されそうになり、次の瞬間に恐怖を感じ座り込みひたすら耐える。

それしか出来なかった。すぐに決着は付く

 

なにも出来なかった。。。。

 

興奮で足が震える。それだけではない、きっと怖かったんだろう。

しばらく放心し、その日は小物釣りをして早めに眠りについた。

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翌日、学生の時にお世話になった唐揚げ屋さんの店主に再会した。

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ロッキンチキンという、小笠原で揚げ物を中心に販売しているお店だ。

 

父島では毎日、この店の肉を食らった

 

店主はれっきとした釣り師

 

昨日の体験談を話してみた、すると

 

『あー!きっと巨大なエイだな!父島には100キロや200じゃ効かないサメやエイが沢山いるぞ!』

 

狙って来てはいたものの、簡単に狙うと言うにはあまりにも高い壁を感じた。きっと今回の旅はこの壁を越えるための旅なんだ。

 

覚悟を決め腹を括った。

 

次に訪れたのが、小笠原ツーリスト

小笠原父島でのツアーを組んだり、共に添乗してくれる方々が集まっている仕事場だ。

 

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学生の頃、始めて来た時にここにお世話になった。

 

ドアを叩き大きな声で

『ただいまー!!』

 

すると

『おかえり!!君ならまた来ると思ってたよ!楽しんでいってね!』

 

暖かい対応により一層、この島が好きになった。

 

挨拶がすみ、午前半日はずっと釣具屋にこもっていた。釣具屋の名前はおつかめ屋。

俺がサメやエイを釣りに来たと言っても真剣にアドバイスをくれたり、一緒に考えてくれる本物の釣り師が居る。この人と話している時間は有意義でとても楽しかった。

 

そして夕方から出撃、昨日のやつへのリベンジを果たさなければ。

小物釣りをしながらアタリを待つ。

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すっかり日が沈んだ後、再びその時は訪れた。

リールからジィーという甲高い音が鳴った!

 

竿を立てて応戦!しかし、今回もまた重量級。

再び昨夜の恐怖感を思い出した。今回はひたすら踏ん張る! 

しかし、一切止まらない魚。今回もすぐに決着がついてしまう。

 

『今まで釣っていたアカエイと、全く違う次元だ。。。』

 

その日も敗北し、ふいに船で思っていたことを思い出した。

 

 

『俺にこんな広い世界を無尽にかけるあの魚達を、釣り上げることができるのだろうか?』

 

 

期待は不安にも変わり始めた。まだ早かったのか。。。想像を超える程、彼らの壁は高くそびえ立っていた。

 

不安に駆られながら、就寝。2日目を終えた

 

このまま、奴らに負けたまま終わってしまうのか。。。

 

複雑な気持ちが入り混じり、運命の3日目を迎えた。