虫好きの皆様は「ノコ」と聞いたらなんと思い浮かべるだろうか?私も含め、間違い無く殆どの方がノコギリクワガタを思い浮かべると思う。(ノコギリヒラタムシって思った人が居たら弟子入りしたい笑)
クワガタ界のノコはノコギリクワガタだが、ノコギリを冠する虫は蛾にも存在する。。。
これは片手間とは言えないくらい熱中したその蛾を採集するまでの採集記。
今年から蛾も中心に狙って行く事になり、春はオオシモフリスズメ始め数々の蛾に出会う事が出来た。
せっかくオオシモフリスズメが採集出来たので、今年はスズメガ、ヤママユガをメインに、その他ヤガやエダシャクは気になった種類を掻い摘んでやっていく事に。

これは地元付近の探索で見つけたコエビガラ
結構苦戦すると思っていたので嬉しかった
地元でも探索していくが、遠征時に特に見たいスズメガ3種を絞ったが、、、
この中で2種は少し特殊な環境で育つという事。
よく調べてみたらさほど遠出せずとも採集出来るという点であまり力が入らず、今年は時間があったらやってみようとなったが、結局1度だけ、付近で街灯採集をして失敗に終わった。また来年ちゃんと挑戦してみようと思う。
残る1種
こちらは王様採集に行くエリアの何処かに局所的に生息している可能性がある。更に下調べしていく中でその日の気候等で特殊な状況が作り出されなければ、王様とは異なる状況下で飛びそうなので、分けて採集出来る事が分かった。
それならば今年は王様とこの子に焦点を当てていこう!遠征中は寝れない日が続きそうだ笑。
そんなこんなで王様採集と蛾採集を当日時間で分けて行う事にした。
基本的には特別異常な気象が無い限りは王様→蛾の順で1日使って採集する。(王様よりに傾いた条件の時は蛾はパスしたけどね)
ただ、この子の食草が問題となる。
食草はドロヤナギかヤマナラシ。
植物にあまり興味無いワイは、この樹木が全く分からない笑。
調べると、いわゆるポプラの仲間らしく、かのカトカラの王の食草に似てくるのかなと。
この子の情報はかなり少ないが、ムラサキシタバ様は大人気なのでいろいろ情報が出てくる。
この子が秋に出没してくるようなエリアを探して見ることに。
まずは6月後半〜7月頭に掛けての遠征。
スズメガは大量に居る。

先ずは家の周りでは見つけられなかったウチスズメ
後翅が綺麗な子。実はこの子は本命と食草が被ることもあり、一つの指標となる。
とはいえ、こちらの方が食草が本命に比べて広いのであくまで指標である。実際、遠征先ではかなりの数を見かけた。コウチスズメが欲しい、、、(泣)

このエリアは王様を採集したエリアだが、何故かオナガミズアオだけが大量に飛来してくる。もはやユートピアだ。発生タイミングが当たったのだろう。
オナガミズアオは地元付近にいる場所を見つけているが、あまり飛んでこないのでこれはとても嬉しい。

ヒメサザナミなんかも居た。
地元はサザナミスズメの割合が圧倒的に多い為、見たことが無かった。サザナミスズメも大して大きく無いが、ヒメサザはかなり小さいね。裏側の写真はダルいので割愛笑。

めちゃくちゃよく居るトビイロスズメ
お腹モフモフでダックスフンドみたいで可愛い。
そんな感じでブログには載せきれない量の蛾に出会うが、最初の遠征で本命は見つけられず。。。
調べた感じ、発生期間が短いらしくちょっとした事でチャンスを逃す可能性があるのでここで採集しておきたかったが、欠片すら存在を感じれなかった。。。
次は7月末
そろそろここで採集しておかなければヤバそう。。。
今回は少し昼間に走ってドロヤナギ、ヤマナラシが生えている林を探したりした。
さすがに他の蛾の情報と照らし合わせとか舐めてたな(泣)ちゃんと個別に向き合う事にした。
携帯の写真とにらめっこしながら数カ所確認。
ワイの探す力が弱い可能性大だが、あまり無い、、、。
ヤマナラシ(だと思う)をひとまず見つけたのでこの辺りを調べるか、、、。そもそもドロヤナギとヤマナラシの見分けもあんま分からん笑。蛾屋って凄い。
この時、対局の王様は大成功中なので、蛾でも成功したかったが、、、

モンホソバスズメ
ちなみにセトウチホソバも捕れてない。。。
食草オニグルミはヒラタや王様採集で嫌ほど目にして覚えてるので、その付近の街灯を見るが殆どの確率でエゾスズメоrモンホソバ。謎、、、。

レアな赤目や眼状紋異常かメス来ないかなぁと思いつつも現れず。
ついにヤバそうなのでこの子のみ狙いでライトを焚いた日もあった。ヤマナラシが自生する林だ。ただ、近くに生えてるのを確認してやっている為、正直どれだけの密度で生えてるかが不明。

本命には出会えず、、、。7月末もスカってしまった、、、。
今度は前回から3日後程、8月頭。
まだチャンスはあるはず!
この週は王様を探すエリアが蛾の本命と被らないエリアを中心に探したので出来たのは尻の2日のみ。
王様編は別の記事で書くので割愛します。
この辺りからオオミズアオのメスが増え始める。
オスはかなり擦れてきた。
意識してないと興味さえ持たれないけど、オオミズアオメスは案外珍しいと思う。殆どがオスだが、春型も夏型もメスが一時的に増えるタイミングがあるね。
この日は3頭もメスに遭遇した。
春型メスも採集していたのでオオミズアオは一通りコンプリートだ。

ぶっちゃけ、食草があるというだけで、この辺りから本命が捕れた記録は調べても無い。
あまり知られてない種類だから仕方ないけど、このご時世情報があまり無い昆虫を追える幸せは半端ない。
多分、今年は厳しいかも知れない。でもいつか出会えたら感動は半端ない筈だ。
今年は王様で良い思いが出来ている為、気持ちに余裕があるのもあるが、残りもラストまでチャレンジしてみる事にする。
その後は8月中旬も王様と並行してチャレンジしたが、蛾の方は失敗に終わる。


それでも蛾は色んな表情でワイの事を楽しませてくれる。みんな可愛いぇ。
そんな中、急に飛来した予想外のあの蛾、、、
お主は!!!!!

魔王クロメンガタスズメである。
この蛾を見る度にシューベルトの魔王が頭に流れる
この子はオス。初夏にメスを採集していたので、オス・メスが揃った。

↑こちらが初夏に採集したメス。メンガタ部分の色とかが違うが同種。ちなみにサイズはメスが圧倒的にデカい。体の太さだけならオオシモと変わらない。

こちらはオスなので少し小振りになる。
この周りは冬は豪雪地帯。果たして繁殖出来ているのだろうか、、、。あまり記録の無いエリアなのでびっくり。
ワイの今の所の推しスズメガである。
そして、ラストチャンス、8月下旬。てか、もはやチャンスはあるのだろうか笑。調べる限り、8月中旬が最後の記録でそれ以降の日付が無い。
まあ、ここまで来たら最後まで走り抜ける。徹夜なんてお手の物だ。(ホントは寝たい)
街灯下にはついに別の本命、ヤママユガさんが現れ始めた。

一際美しいなこの蛾は。この子達が現れると街灯は一気に賑やかになるが、それと同時に晩夏を意味する、、、。複雑な気持ちだ。

モフい

こっからもモフい

手乗りもしてくれる幸せすぎる。

2ショットも撮らせてくれる幸せ。
しばしヤママユガを堪能した。
再び本命の飛来時間になった。正直、厳しいかも知れない。でも、また来年も挑戦出来るからそれはそれで良い。勿論、諦めた訳では無いが、心の中ではやり切ったと思っていた。
やり切った表情で街灯下を確認していたと思う。
この夏も本当に、楽しかったなあと。
ふと、街灯下の草にとまったエゾスズメに目がとまる。ん?エゾスズメってこんなに翅の裏白かったっけ???
、、、、、、、
、、、、??!!!!???!!!
一気に心拍数が上がる。
もう、確信に変わっていた。
恐る恐る、その蛾を覗く。

居たあああああああああああああああああああああああああああああああ(泣)(泣)(泣)(泣)

グレーの地色にほのかな美しいブルー、翅脈はイナズマの如く。そう、この子がずっと求めていたスズメガ。
スズメ蛾界の「ノコ」
ノコギリスズメである。
本州では生息地が局所的。かつ数もそこまで多くなく、レアな蛾になる。
そして、撮影をしてるとなんともう1頭飛来した。
そう、この蛾、エゾスズメと同じで後翅を上に出して止まる。

↑(これがエゾスズメ。エゾスズメは初夏辺りに大量に居る。オニグルミが付近に生えてるかの指標、かつ時間帯の指標にもなるので王様採集で重宝している。)
模様は翅脈がイナズマのように走る。カラーはネズミ色だが、光の当たり方で藍色に妖しく光る。
妖艶に浮かぶノコギリブルーが上品で本当に美しい。
翅の後縁は名前の通り、ギザギザしている。

翅には金の鱗粉が散らばり、更に美しさを際立てる。

触覚は白、脚は黄色〜白。脚の色に関しては多少個体差があるようだが概ね、前脚黄色が多かった。この子は前脚だけ少し黄色がかり中、後脚は白かった。
ようやく出会えた、、、感無量である。正直もう厳しいと思っていたが8月下旬にも出てくるんだな、、、。
有識者に軽く聞いてみると、あの辺りは雪が例年よりかなり残ったから発生が遅れた可能性がある。それか単純にそのエリアの発生が遅いのか、、、。このあたりのエリアで採集された記録があまり無いらしく判断が難しいらしい。
とはいえ、今年はクワガタの流れだけでいうと例年通り、もしくは少し早く感じるので、蛾だけが遅くなるという事があるのだろうか、、、。ただ、このエリアはヤママユガの出だしは明らかに昨年より遅い。
情報が無いエリアだと捕れた後もいろいろ難しい笑
まあ、でも捕れたし良しとする。
この後は残り2日間、王様採集後にこの辺りに出向く事にした。
そして次の日

高い所に止まるメス個体を発見。
個体差があり、少し色の配分が前日の個体と違う

メスなので触覚は櫛状が少ない。腹だけでなく身体が全体的にずんぐりしててオスよりは大きい。
脚の色は前〜後全てが黄色である。勿論、胴体のノコギリブルーは健在で美しい。

この個体は前日の個体よりも、多く金の鱗粉が散りばめられていた。遠目で見ると茶色っぽく見えて少し汚く見えるのだが、近くで見るととても美しい。
これは性差?個体差?

勿論、イナズマは健在。藍色を走る黄金色のイナズマはこの個体をより一層美しく派手に見せている。

顔はまあ、言うことなくカワユイ。ちょっと小顔タイプかな?出会えて嬉しい。
最後の最後でついに見つける事が出来た、、、。
このエリアは調べても居るとは出てこないエリア。
蛾としても、ぶっちゃけさほど人気が出てない本種なので、もしかしたら考えているより分布は広い可能性がある。当たり前だが、蛾において食草を事前に探す重要さと大変さを思い知らされた。樹木の勉強もしないと、なかなか狙っては辿り着けないという事をこの子に教えて貰った。
加えて時間帯は、確かに言われている通りの時間帯だったが、その時間帯の間でもかなり短い間隔で飛来をするみたい。20分〜30分間くらいかな。この日はその間に2匹飛来し、翌日も2匹、翌々日は1匹だった。
個体数はやはりかなり少ない。
このあたりが、比較的時間帯か場所さえ合わせればバンバン飛んでくる他種のスズメガとは違う。本土では居る所に行っても捕れない可能性がなかなか高い種類なんだろう。あと、現れたタイミング的にやはり決まった周期と潮回りも存在しそうだ。
ちなみにだが、この蛾。唯一普通種として普通に数がいる地域が存在する。それが北海道だ。

北海道の方からしたら、こんな蛾普通に歩いてても見れるレベルなのかも知れないが、本土になると一苦労である。
何れ北海道にもミヤマや固有の蛾を採集しに行きたいと思っているが、この蛾は何としてもその前に本州で仕留めておきたかった。

かなりの美しいさで出会えて良かったと本気で思わせてくれる蛾だった。本当に美しい。
あまり知られていない産地を自力で探して辿り着いた最高の蛾でした。また来年も会いに来るね。

ちなみにだが、最後の個体がケースの中で卵を産んでしまった。

卵は産みたてが黄緑の綺麗な球体。凄く綺麗だった。
まあ、そもそも無精卵の可能性もあるので生まれるかは分からないが(汗)
産まれたとしてもちょっと困る(汗)地元でドロヤナギやヤマナラシを探しに行かなければならなくなるのはなかなか、、、
ポプラでも飼育出来る可能性があるらしいので、ポプラならなんとかなるかも知れないが、、、、
また来年、その美しいノコギリブルーに出会える事を信じて。それまでにクワガタだけでなく、蛾の腕も磨いておきます。

美しい姿を見れて本当に嬉しかった。現れてくれてありがとう。またね。